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伴 康俊; 鈴木 英哉*; 宝徳 忍; 津幡 靖宏
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 31(1), p.1 - 11, 2024/00
ホットセル内のミキサセトラ抽出器を用いた-ヘキサオクチルニトリロトリアセトアミド(HONTA)によるマイナーアクチノイド(MA; Am及びCm)分離の実証試験を実施した。フィード液としてMA及び希土類(RE; Y, La, Nd及びEu)を含有した高レベル廃液を用いた。ノルマルドデカンで0.05mol/dmに希釈したHONTAを有機相として供給し、一部の有機相は再生せずに再利用した。HONTAはMAを効果的に抽出する一方、REはあまり抽出しなかった。Y, La, Nd及びEuのREフラクションへの移行率はそれぞれ 99.9%、99.2%、61.8%及び81.4%となった。MAフラクションへのAm及びCmの移行率はそれぞれ86.8%及び74.7%であり、累積40時間の試験によって有意量(0.12g)のMAを同フラクションに回収した。
筒井 菜緒; 伴 康俊; 鈴木 英哉*; 中瀬 正彦*; 伊藤 紗弓*; 稲葉 優介*; 松村 達郎; 竹下 健二*
Analytical Sciences, 36(2), p.241 - 246, 2020/02
被引用回数:21 パーセンタイル:79.8(Chemistry, Analytical)ランタノイドからのアクチノイドの効果的な分離について調べるため、新規抽出剤テトラドデシル-1,10-フェナントロリン-2,9-ジアミド(TDdPTDA)と3-ニトロベンゾトリフルオリド(F-3),ニトロベンゼン, -ドデカンなど様々な希釈剤並びにAm, Cm及びLnを用いて単段のバッチ試験を行った。抽出速度は実際の抽出フローシートを実行するにあたり十分な速さであった。分配比対TDdPTDA濃度及び分配比対硝酸濃度のグラフの傾きは、F-3系及びニトロベンゼン系では似ていたが、-ドデカン系とは異なっていた。これらの違いは希釈剤の特徴によるものである。この研究ではTDdPTDAが高い 及び を示し、AmのLnに対する分離係数()は分離するのに十分な値であることを明らかにした。
伴 康俊; 鈴木 英哉*; 宝徳 忍; 筒井 菜緒; 津幡 靖宏; 松村 達郎
Solvent Extraction and Ion Exchange, 37(7), p.489 - 499, 2019/11
被引用回数:15 パーセンタイル:52.81(Chemistry, Multidisciplinary)ホットセル内のミキサセトラ抽出器に-ヘキサオクチルニトリロトリアセトアミド(HONTA)を適用し、マイナーアクチノイド(MA: Am及びCm)の分離を目的とした連続向流試験を実施した。高レベル廃液から回収したMA及び希土類(RE)を含有した0.08M(mol/dm)の硝酸をフィード液に使用して14時間の抽出試験を行った。-ドデカンで0.05Mに希釈したHONTAはMAを抽出し、94.9%のAm及び78.9%のCmをMAフラクションに回収した。一方、Y, La及びEuはHONTAにほとんど抽出されず、99.9%のY、99.9%のLa及び96.7%のEuがREフラクションに移行した。Ndは一部がHONTAに抽出され、REフラクションへのNdの移行率は83.5%であった。計算コードを用いて求めた抽出器各段のMA及びREの濃度は実験値とほぼ一致した。この計算コードを用いた試算を行い、分離条件の最適化することでMAのMAフラクションへの移行率及びREのREフラクションへの移行率が99%となる結果を得た。
伴 康俊; 鈴木 英哉; 宝徳 忍; 川崎 倫弘*; 佐川 浩*; 筒井 菜緒; 松村 達郎
Solvent Extraction and Ion Exchange, 37(1), p.27 - 37, 2019/00
被引用回数:21 パーセンタイル:65.06(Chemistry, Multidisciplinary)ホットセル内のミキサセトラ抽出器に-tetradodecyldiglycolamide (TDdDGA)を適用した連続向流試験を行った。マイナアクチノイド(MA: Am及びCm)、希土類(RE: Y, La, Nd及びEu)及び他の核分裂生成物(Sr, Cs, Zr, Mo, Ru, Rh及びPd)を含む硝酸を抽出器に供給した。TDdDGAは供給液中のMA及びREを効果的に抽出する一方、他の核分裂生成物はほとんど抽出しなかった。抽出したMA及びREを0.02mol/dm硝酸で逆抽出し、MA-REフラクションとして回収した。MA-REフラクションにおけるMA及びREの割合はそれぞれ98%及び86%であった。これらの結果からMA及びREの抽出剤としてのTDdDGAの適用性を示した。
荒井 康夫; Pillon, S.*
Proceedings of International Conference ATALANTE 2004 Advances for Future Nuclear Fuel Cycles (CD-ROM), 9 Pages, 2004/06
日本及びフランスにおけるこれまでのMA核変換用燃料に関する研究をレビューして、今後の研究課題について議論した論文である。ADSに代表される専用システムに用いる燃料,FBRの炉心燃料に少量のMAを混入させた燃料,FBRの炉心燃料とは別に高濃度のMAを含むターゲットとして用いる燃料それぞれについて、両国で実施してきた製造,物性,照射及び再処理研究から導かれた結果と国際協力を含めて進行中,計画中の試験について幅広く紹介する。
尾崎 卓郎; 木村 貴海; 大貫 敏彦; 吉田 善行; Francis, A. J.
Environmental Toxicology and Chemistry, 22(11), p.2800 - 2805, 2003/11
被引用回数:21 パーセンタイル:45.2(Environmental Sciences)有害金属の環境中での挙動は、種々の無機または有機物質により支配される。本研究では、環境中に広く存在し、有害元素の環境挙動に影響を与えるクロレラ()を対象として、Cm(III)及びEU(III)との相互作用を評価した。バッチ評価によりpH3~5の溶液からのクロレラへのCm(II)及びEu(III)の分配比を測定した。両イオンの分配比は3分以内に最大に達し、その後は徐々に減少した。これは、Cm(III),Eu(III)に配位能を有する物質をクロレラが溢泌し、細胞上に吸着した同イオンが時間とともに溢泌物により脱着されることを示唆する。また、両イオンの分配比は高pHほど低く、溢泌物と両イオンとの親和性または溢泌量にpH依存性があることがわかった。時間分解レーザー誘起蛍光分光法によりクロレラ上に吸着したEu(III)の配位状態を調べ、吸着したEu(III)の内圏に存在する水分子の数が水溶液中のそれと同一であることがわかった。また、同手法により、クロレラ細胞上のEu(III)の吸着部位が細胞壁主成分であるセルロースであることも明らかにした。
望月 祐志*; 舘脇 洋*
Journal of Chemical Physics, 118(20), p.9201 - 9207, 2003/05
被引用回数:6 パーセンタイル:18.14(Chemistry, Physical)弗化物はアクチニドのポピュラーな化合物であるが、原子力エネルギー分野の主役であるUとPuの弗化物を例外として他の元素についてはほとんど知見が得られていない。しかし、ランタニドと比較すると後期のアクチニドでも+4価と取れるなど化学的な差異は知られており、計算によってこうした側面に切り込むことが出来れば、原子力工学・基礎無機化学にとって大きな意味が期待される。本研究では、CmとGdを例に取って、4弗化物までをDirac-Hartree-Fock計算によって系統的に調べた。本結果から、「CmFが合成可能なのに、GdFが不可能な理由」,中心金属の実効電子配置などの知見が世界で初めて明らかにされた。大規模並列計算としても、当該分野で過去最大のものである。
舘脇 洋*; 望月 祐志*
Theoretical Chemistry Accounts, 109(1), p.40 - 42, 2003/01
被引用回数:23 パーセンタイル:52.43(Chemistry, Physical)Dirac-Hartree-Fockを始め、4成分の相対論的分子軌道計算を行うにあたって、変分崩壊を起こしにくく、またいわゆる「基底関数重ね合わせ誤差」の少ない基底関数の選択は重要である。しかし、4成分計算は計算コストが高いために、非対称論系の基底に比して選択すべき候補も少なく、また検証も未だ進んでいない。本論文ではこうした状況をふまえ、キュリウムとその弗化物を例に取り、基底関数選択にあたっての注意点を考察し、簡潔にまとめた。
高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 小川 徹; 沼田 正美; 木崎 實
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.842 - 845, 2002/11
(Cm,Pu)混合酸化物及び窒化物固溶体の線自己損傷による格子の膨張をX線解析により測定した。元の酸化物はCmの崩壊により、(Cm,Pu)Oの組成を持っていた。これを643K及び1073Kで加熱した後、格子定数の時間変化を観察したところ、約5日で変化は収束した。格子定数の膨張率はともに2.610であったが、格子定数の初期値はそれぞれ0.5394,0.5388nmであった。炭素熱還元法により酸化物から窒化物固溶体を調製し、同様に格子定数変化を観察した結果、初期の格子定数は0.4945nmで、膨張率は3.510であり、酸化物に比べて大きい膨張率であった。
尾崎 卓郎; Gillow, J. B.*; Francis, J. A.*; 木村 貴海; 大貫 敏彦; 吉田 善行
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.950 - 953, 2002/11
微生物とユーロピウム及びキュリウムとの相互作用についての研究を行った。微生物試料としては、一般環境中に生息すると高濃度の塩の存在下でのみ生育するHalobacterium salinarumを用いた。両元素の微生物体への吸着率をトレーサー法により調べた結果、が3から5の範囲では吸着量,吸着速度ともに高pHほど大きな値を示すことがわかった。また、両微生物間で、吸着平衡後の分配率(K)に大きな違いは見られず、両元素はほぼ等しい挙動を示した。微生物体に吸着したユーロピウムの状態を時間分解レーザー誘起蛍光分光法により調べた。蛍光寿命より配位水の数を求めた結果、に吸着したユーロピウムの配位水数はの増加とともに減少し、については逆の傾向が見いだされた。発光スペクトルの形状から得られる情報により吸着ユーロピウムの配位構造の複雑性を検討したところ、Bacillus subtilisに吸着したユーロピウムの配位構造の複雑性はの影響をほとんど受けないが、についてはの増加とともに複雑性が急激に増すことが示された。また、これらの結果から、に吸着したユーロピウムはBacillus subtilisに吸着したものよりも、より外圏型な配位構造を有することがわかった。
望月 祐志*; 舘脇 洋*
Journal of Chemical Physics, 116(20), p.8838 - 8842, 2002/05
被引用回数:16 パーセンタイル:45.25(Chemistry, Physical)全電子のDirac-Hartree-Fock法を並列処理を駆使することによって、3価キュリウムイオンの6水和錯体モデルにまで適用した。さらに、蛍光スペクトルの評価のために閉殻完全CI計算も行った。同様の計算を等電子系のガドリニウムイオンについても用い、結果をキュリウムの場合と比較した。一連の計算により、水和の本質が配位結合による安定化であること、水側からイオンへ相当量の電子供与があること、結果として蛍光スペクトルが赤方レフトすること等が明らかになった。
加藤 大生*; 嶺 達也*; 三原 守弘; 大井 貴夫; 本田 明
JNC TN8400 2001-029, 63 Pages, 2002/01
TRU廃棄物の処分システムにはセメント系材料の使用が考えられている。セメント系材料には収着により核種の移行を遅延させる機能が期待されている。このため、TRU廃棄物の処分システムの評価においては、セメント系材料に対する核種の分配係数Kd が重要なパラメータとなる。セメント系材料に対する核種の収着に関する研究は、国内外で数多く報告されている。したがって、既存の知見を整理し、核種の分配係数を把握しておく必要がある。本報告では、性能評価上重要となるC, Cl, Ni, Se, Sr, Zr, Nb, Mo, Tc, Sn, I, Cs, Sm, Pb, Ra, Ac, Th, Pa, U,Np, Pu, Am, Cm 等の元素を対象として、セメント系材料に対する分配係数を文献及び内部実験結果から抽出・整理し、収着データベース(SDB)としてまとめた。SDB 整備の過程で、Se, Tc, Pa, U, Pu, Np 等といった実験雰囲気や酸化還元電位により化学形態が変化すると考えられる元素について、実験雰囲気が制御された条件で得られた分配係数はいくらかあるももの、酸化還元電位が制御された条件で得られた分配係数はほとんどないことを把握した。また、Se, Mo, Sm, Cm, Ac の分配係数がこれまで測定されていないことが分かった。これらの元素のうち、Se及びMo について、OPC(普通ポルトランドセメント)に対する分配係数をバッチ収着実験により取得し、SDB に反映した。
木村 貴海; 永石 隆二; 加藤 義春; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 89(3), p.125 - 130, 2001/05
被引用回数:66 パーセンタイル:96.81(Chemistry, Inorganic & Nuclear)非水溶媒及び混合溶媒中でのアクチノイド[An=Am, Cm](III)及びランタノイド[Ln=Nd, Sm, Eu, Tb, Dy](III)の発光寿命の測定から、それらの溶媒和挙動を研究した。ジメチルスルホキシド(DMSO),ジメチルホルムアミド(DMF),メタノール(MeOH),水(HO),及びそれらの重水素化溶媒中でのAn(III)とLn(III)の発光寿命(,)から評価した溶媒による無放射緩和速度はHOMeOHDMFDMSOの順であり、Ln(III)に比べAn(III)はより強く溶媒と相互作用することを見いだした。発光寿命の水素同位体効果/は、HO中でEu(III)、MeOHとDMF中でSm(III)、DMSO中でSm(III)とDy(III)が最大であった。混合溶媒(DMSO+HO,DMF+HO,MeOH+HO)中でのCm(III)及びLn(III)への溶媒和の強さはDMSODMFHOMeOHの順であり、これは溶媒の相対的な塩基性の強さ、双極子モーメントの大きさと一致した。さらに、この結果からイオンの水-非水溶媒間移行のギブズ自由エネルギーを評価した。
高野 公秀; 伊藤 昭憲; 赤堀 光雄; 小川 徹; 沼田 正美; 岡本 久人
Journal of Nuclear Materials, 294(1-2), p.24 - 27, 2001/04
被引用回数:13 パーセンタイル:66.91(Materials Science, Multidisciplinary)マイナーアクチノイドの消滅処理技術の研究の一環として、窒化物燃料/ターゲットの調製研究を行ってきた。窒化アメリシウムの調製に引き続き、本件では、CmとPuの混合窒化物を炭素熱還元法により調製した。原料酸化物の組成は(Cm,Pu)Oであった。残存酸素量を抑えた窒化物と、酸素を固溶限まで固溶させた窒化物の格子定数は、それぞれ0.4948nm,0.4974nmであった。アクチノイドの窒化物では、酸素の固溶量が増えるに従い、格子定数が大きくなることが知られており、今回の結果もそれに従っていることがわかった。また前者の格子定数は、PuNとCmNの格子定数の文献値も用いて検討したVegard則によく従っており、窒化物固溶体(Cm,Pu)Nが得られたことを裏付けている。
逢坂 正彦; 小山 真一; 三頭 聡明; 両角 勝文; 滑川 卓志
JNC TN9400 2000-058, 49 Pages, 2000/04
高速炉におけるMA核種の核変換特性の評価に資するため、照射済MOX燃料中のCm分析技術の開発及び高速実験炉「常陽」照射済MOX燃料中のCm同位体の分析を行った。迅速性・簡便性等を考慮した上で、照射済MOX燃料中のCmの同位体分析において必要なCm分離のための手法として硝酸-メタノール系陰イオン交換法を選択した。本手法の基本的な分離特性を把握する試験を実施し、Cmの溶出位置、Am,Eu等の元素との分離能等を把握した。本手法を照射済MOX燃料中のCm分析に適用するにあたり、分離特性の把握試験の結果より分離条件を評価し、溶出液取得条件を最適化して、それぞれ不純物の除去及びAmの除去を目的とした2回の分離によりCmを回収するプロセスを考案した。本プロセスを適用することにより、Cmの高回収率及びAm、Eu・Cs等の不純物の高除去率を同時に達成することができた。本手法を用いて照射済MOX燃料中からのCmの分離試験を実施し、分離したCmを質量分析することにより、照射済MOX燃料中のCm同位体組成比データの測定が可能であることを確認した。一連の試験により、硝酸-メタノール系陰イオン交換法によるCm分離手法を用いた照射済MOX燃料中のCm分析技術を確立した。本分析技術を用いて高速実験炉「常陽」照射済燃料中のCm同位体の分析を行った。その結果、高速炉内で燃焼度が約60GWd/t以上まで照射されたMOX燃料中のCmの含有率は約1.44.010のマイナス3乗atom%であり、さらに極微量の247Cmが生成することを確認した。また燃焼度が60120GWd/tの範囲ではCm同位体組成比はほぼ一定となることが分かった。
矢板 毅
Proceedings of International Youth Nuclear Congress 2000 (CD-ROM), 4 Pages, 2000/00
単座・二座配位有機リン系及びアミド系化合物-ランタノイド、アクチノイド錯体の溶液内構造を放射光EXAFSにより、また、いくつかの単結晶試料についてX線構造解析を行った。これにより両系において単座配位系化合物は、配位酸素のネットチャージが二座配位系に比べ大きな差がないのにもかかわらず約0.2Åほど外側で配位することがわかった。これは溶液内においてのみ観察された。これは多座配位系が金属と環形成するときのキレート効果による。CMPOは溶液中においてカルボニル基の酸素が弱く相互作用し、形成する環は非対称になること、また環形成では5員環が6員環より安定であり錯形成において2つの5員環を有する三座配位子ジグリコールアミドが、三価ランタノイド、アクチノイドの分離には最も有効であることなどを明らかにした。
吉田 隆史; 石原 義尚; 石黒 勝彦; 仲島 邦彦*; 大井 貴夫
JNC TN8400 99-087, 41 Pages, 1999/11
地層処分システムの性能評価において、人工バリア中の核種移行に影響を及ぼす現象として、オーバーパックの腐食膨張および緩衝材の流出が挙げられている。このため、この二つの現象によって影響を受ける緩衝材パラメータ(緩衝材厚さ、空隙率、拡散係数)を変化させて人工バリア中核種移行の感度解析を行い、人工バリアから周辺岩盤への核種移行率の変動について調べた。オーバーパックの腐食膨張と緩衝材の流出を考慮し、緩衝材厚さ、空隙率、拡散係数を変化させて解析を行った結果から、この二つの現象は半減期が1万年未満の核種の移行率に対して大きな影響を及ぼすことが分かり、オーバーパックの腐食膨張はこれらの核種の最大移行率を減少させ、緩衝材の流出は逆に最大移行率を増加させることが示された。しかしながら、半減期が10万年を超える核種(例えば、Cs-135やNp-237など)の移行率については、オーバーパックの腐食膨張および緩衝材の流出による緩衝材パラメータの変化が最大移行率に及ぼす影響はほとんどないことが示された。
芦田 敬; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 舘 幸男; 北村 暁; 河村 和廣
JNC TN8400 99-083, 63 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する第2次取りまとめにおいて設定されている核種移行データの妥当性の確認と信頼性の向上を目的として、地層処分放射化学研究施設(クオリティ)においてデータ取得を行った。実施した試験は、核種移行に係わる溶解度、収着、拡散に関する研究であり、以下に示す5テーマについて実施した。各試験の内容および成果の概要は以下に示す通りである。(1)Np(IV)の溶解度に及ぼす炭酸の影響に関する研究 還元条件、炭酸共存下におけるNp(IV)の溶解度をpHおよび炭酸濃度をパラメータに測定した。得られた溶解度曲線から2種類の水酸化炭酸錯体の存在が示唆され、その安定度定数を試算するとともに、既存の熱力学データと比較した。その結果、既存のデータと比較的近いことが分かった。(2)スメクタイトに対するNp(IV)の収着挙動に及ぼす炭酸の影響に関する研究 炭酸濃度をパラメータとしたスメクタイトに対するNp(IV)の分配係数(Kd)を測定した。Kdは、炭酸濃度(0.040.15M)の影響を受けずほぼ一定であった。1MKC1およびHC1による脱離挙動を調べた結果、低酸素濃度側ではHC1により、高炭酸濃度側ではKC1により脱離され、2つの異なる脱離挙動が見られた。(3)岩石に対するCs,Pb,Cmの分配係数測定国内の主要岩石(玄武岩、泥岩、砂岩、花崗閃緑岩、凝灰岩)に対するCs,Pb,CmのKdをイオン強度をパラメータに測定した。得られたKdを、第2次取りまとめにおける降水系および海水系での設定値と単純に比較してみると、いずれの条件においても設定値と同程度か高めの値になっており、第2次取りまとめにおける設定値の妥当性あるいは保守性が示された。(4)圧縮ベントナイト中のPbの拡散挙動に関する研究 圧縮ベントナイト中のPbの見掛けの拡散係数(Da)をベントナイトの乾燥密度、珪砂混合率、温度をパラメータに測定した。その結果、バックグラウンドの測定精度が重要であることが分かった。現状で得られた結果より概算したDaからKdを求め、第2次取りまとめにおける設定値と比較した結果、同程度であり、設定値の保守性が示された。(5)圧縮スメクタイト中のCsの拡散に及ぼすイオン強度の影響に関する研究 ベントナイトに不純物として含まれている可溶性塩を除去した圧縮スメクタイト中のCsのDaを乾燥密度
Rai, D.*; Rao, L.*; Weger, H. T.*; GREGORY R.CHOPPI*; 油井 三和
JNC TN8400 99-010, 95 Pages, 1999/01
本研究では、地層処分システム性能評価のための熱力学データベースJNC-TDB(旧PNC-TDB)整備の一環で、111価のアクチニドPu(III)、Am(III)およびCm(III)に関する熱力学データ整備を行った。本研究では、これらの元素に対して、水酸化物、塩化物、フッ化物、炭酸、硝酸、硫酸およびリン酸を含む錯体もしくは化合物に関する熱力学データ整備を行った。また、個別の元素に対して信頼できるデータがない湯合、アクチニド111価間での化学的類似性を考慮したデータ選定を行っている。本研究では主にPitzerイオン相互作用モデルを用いて、25度C、イオン強度0におけるこれらの錯体および化合物の熱力学定数を整備した。
中川 庸雄; 高野 秀機; 長谷川 明
NEA/WPEC-8, p.1 - 116, 1999/00
Np,Am,Am,Cm,Cm,Cm及びCmの評価済データの現状を調査した。これらの核種の断面積データ及び核分裂あたりの放出中性子数について、JENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.2及びBROND-3のためになされた最近の評価値と、Maslov等の評価値、そして実験データを比較した図を示す。また、それぞれの核種について簡単なコメントを付す。JENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.2に与えられているマイナーアクチニドデータのテストのために、PWRの燃焼解析と高速臨界集合体及び加速器駆動炉心のベンチマーク計算を行った。PWRの燃焼では、Pu,Am,Cmの蓄積量のほかは計算と実験値は良く一致した。FCA-IX炉心シリーズにおけるNp,Am,Am及びCmの核分裂率比については、CmとJEF-2.2のAm以外は、5%の範囲で実験値と計算値の一致が見られた。マイナーアクチニド燃料を入れた加速器駆動炉心では、kの計算値に大きな差が見られたが、その原因は核分裂中性子スペクトルと核分裂断面積の評価値の違いにある。